きっともう大丈夫
お互い何か話をする訳でもなく飲んでは食べと時間がただ過ぎてゆく
こうやって鈴木君と食事をしたのは初めてのことだった
仕事中も交代で食事に行くので一緒に食べたのは本当にこれが初だった。
だからどんな話したらいいのか正直わからない
相手は何を考えているかわからないが、酒の力を借りてなら
何だかいろいろ聞けそうな気分になってきた。
半分になった生中を一気に飲み干しカウンターにどんと置く
「鈴木君!」
「ん?」
「彼女とかいるんですか?」
たぶん私以外のスタッフも聞きたがってた事だろう
これほどのイケメンが花だけを愛でてる訳がない!
でもこれは単なる好奇心。
「今はいないけど・・・そろそろとは思ってる」
そろそろ?それは戦闘態勢が整ってこれから意中のあの子にアタックーってやつか?
でもこのイケメンがアタックするって言うんだから
そりゃ~~もうめちゃくちゃ美人だろうな。と勝手に妄想していた。
「お前は彼氏いるのか?・・・てか毎晩あんな時間まで頑張ってるようじゃーいないわな」
と半笑いされた。
「ちょっと!待ってくださいよー」
あーだめだビールの酔いがいい具合にまわってきて饒舌になってる・・・
「確かに今はいませんよ、でもね!前は婚約者までいたんですよ。ダメになったけどね・・・・それにここに来る前に私すっごい若い男の子から
『沙希さんが好きです』って告られたんですよ。
すごいでしょ~~若いって言ったって大学生じゃないんだから高校生よ
高校生。私って大人の女の魅力が自分では気がつかないうちに出まくってたんですかねー結局、年齢差を理由に断っちゃったんだけど、今思うともったいなかったかなーなーんて思っちゃうんですけどね・・・」
酒の力は偉大だ。言わなくてもいいこと言っちゃって
鈴木君の事聞こうと思ってたのに自分の事をベラベラと・・・あー大失敗。
「・・・・・帰るぞ」
鈴木君はそう言う席を立った。
え?何今の?
なんでこのタイミングで帰るって言うかな。
やっぱこの人わかんない。
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