きっともう大丈夫
「んーこのバラだったら・・・ここは・・・この色と・・・」
閉店後プリザーブドフラワーのブーケとブートニアに使用する花材の発注をしていた。
「あーこの色かわいい。あー私はいつ持てるんだ?こんなブーケ。人のばっかり作ってないで自分のも作りたい―!!」
誰もいないので最近は独り言が増える。
「そろそろなんじゃね?」
聞き覚えのある声にびっくりして振り向く。
そこには・・・今の独り言を一番聴いてほしくない人がいた。
「明良!」
だって結婚せがんでるみたいで嫌なのよ!
「ふ~~ん。ブーケね~~。最近頑張ってんじゃん。」
「どうしているのよー!」
頼むさっきの私の独り言に触れないでね。
「いちゃわりーかよ。一応俺もここのスタッフで、しかもお前よりう・えなんだけどな!」
あーなんかいちいちむかつく!
「なーにカリカリしてんだよ。あ!もしかして生理か?」
この男、年を追うごとに憎らしくなる。
「違いますが」
「おーじゃぁ!今日はやれるな!」
おいおい話しそこかい。勘弁してよ
「なんかさーオヤジ臭いよ」
「だってーお前待ってたらオヤジになっちゃったんだもーん」
今日の明良は何だかご機嫌だ。これだけ喋るって事は何かあったな。
「何かいいことでもあったの?」
帰り仕度をしながら聞くと
「・・・・まあな・・」
「ふーん」
もったいぶらなくてもいいのに
「沙希・・・」
「何?」
「半年後目処に店オープンさせるから。」
「・・・・・・・え?」
お店?って事は・・・えええええ!
「明良!」
「今日、社長と物件見てまわって3つに絞った。まだ課題は山積みだけどな」
「おめでとう」
この2年半、明良が凄く頑張ってる姿を見ていたから本当にうれしかった。
「だから・・・約束通り、雪村沙希から鈴木沙希にするから・・・・」
いま・・いま・・・の・・って・・・
2年半前に公園でしてくれたプロポーズを憶えていたんだ
あーダメ!!視界がぼやける
うれしくってうれしくって何か言いたいのに言葉が・・声が出てこない。
「この2年間よく頑張ってくれた。お前の頑張ってる姿は俺が一番わかってるから俺もはやくお前のために店持ちたくて頑張った。これでやっと言える」
涙で明良の顔もよく見えなくなってる。
「愛してる。沙希さん、俺と結婚してください」
もう!何よ!いつも意地悪なのにこんな時だけ、こんな時だけ
甘い声で囁かないでよ。体に力が入らなくなっちゃうじゃん。
涙で顔がぐちゃぐちゃになって立っていられず、じゃがみこもうとする私の体を明良が支えてくれて抱きしめられるような形になるがすぐに
明良が唇をふさぐ。
息が出来ないほど甘くとろけるようなキスの雨が降る
「ブーケは俺が作るからお前は作るんじゃねーぞ」
げ!やっぱりさっきの独り言は聞かれてたんだね・・・ははは
そういって再び私たちは唇を重ねた
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