きっともう大丈夫
詩織のおかげで私は久しぶりに早く帰宅した。
マンションに着くと、早速キッチンで料理を始め彼の帰りを待った。
1時間後鍵を開ける音に気付き玄関に行くと
大きな花束を抱えた明良が立っていた。
「おかえ・・・・り」
「ただいま。奥さん」
そう言って花束を差し出された。
大好きなアジサイとバラの花束だった。
「ありがとうー。めちゃめちゃうれしい。」
それから二人で結婚記念日を祝った。
「なあー。沙希」
「ん?」
二人でソファーにもたれかかりながらお酒を飲んでいた。
「俺たち、そろそろ子ども・・・作らないか?」
いきなりの子ども・・って言われて一瞬固まってしまった。
「ほしいよ」
「じゃー」とその続きを私は遮った
「でも、今お店忙しいし子どもが出来たらお店誰がみるの?」
子どもは結婚当初からほしいと思っていたが実際無理だった。
それに私はこの仕事が凄く好きだ。ずっと続けたいと思っている
そう思わせたのは明良だった。
彼の作品に惚れ、彼自信に惹かれ今の自分がある。
だから今でも彼以上の実力がほしいと・・・・
だから・・・・もう少し時間がほしいと・・・
「沙希の産休中だけアルバイト雇えばいい」
私は素直に頷く事が出来なかった。
「沙希は子ども欲しくないの?」
私は首を横に振った。
欲しくなくい訳じゃないだけど・・・・だけど・・・
明良は私が言わんとすることが分かったのかそれ以上何も
言わなかった。

この時私が子どもを欲しいといっていたら
私はしあわせでいられたの?
1年後、結婚記念日の夜の決断を後悔することになるとは思いもしなかった
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