きっともう大丈夫

二度目の告白

「ここは・・・」
ハルの運転する車で連れてこられたのは
かつて私が働いていた店、haluluだった。
土曜日と言うこともあり、お昼を少し過ぎた頃に着いたが
順番待ちのお客さんがいるほどでかなり繁盛していた。
だがハルは待っているお客さんを掻きわけ店内に入った。
ハルは店員さんと何やら話をして戻ると
「行こう」といって窓際のテーブルに向って歩き出した。
「驚いた?」
ハルはメニューを私に差し出しながら言った。
「驚くわよ。何でここなの?」
どうしてハルが私をここに連れてきたのかわからない。
私とここのシェフの圭吾がかつて婚約者だったことを知っているはずなのに
「・・とりあえず食べるものを決めよう。話はそのあとね。」
私は気になりながらもメニューを広げ、カルボナーラを注文した。
ハルはペスカトーレ。
「カルボナーラ好きなんだ・・・」
メニューを見ながらハルがぼそっとつぶやいたが、その言葉に返事はしなかった。
昔、圭吾と付き合っていた頃によく作ってくれたのがカルボナーラだった。
カフェをやりたいと昔から言ってただけあって、彼の作る料理はおいしかった。
『カルボナーラの味でそこの店がわかる。』なんて言ってたっけ・・・
「俺・・・何で沙希さんがいなくなったか知ってます」
「圭吾からきいたんでしょ?」
私の言葉にハルはフォークをもったまま黙っていた。
「数年前にね、偶然圭吾と会ったのよ。その時に教えてくれた。」
するとハルはフォークに巻きついてるパスタを
勢い良く食べた。
「ごめんね・・・」
「謝らないでっていったよね」
ハルは黙って私を見つめてる。
あんな別れ方はよくないって思ってたんだけどね・・・・
春からの告白は想定外だったから・・・・
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