犬との童話な毎日
その言葉に、首を傾げて考えてみる。
確かにあたしは、沙月ちゃんからラインが来た時に、ああもしかしたら、って。
ここに黒曜がいるかも、と思った。
けれど、あたしは大好きな沙月ちゃんのお見舞いに行きたいだけだし。
その帰り道に、ついでに枝垂れ桜を見たいだけだし。
別に黒曜を捜しに行くわけじゃないし。
どうでも良い言い訳を、色々と重ねてここに来た。
でも、桜も散った木の下に黒曜の姿を見付けた時。
ここ数日のもやもやとした気持ちが、嘘のようにすとんと落ち着いたんだ。
「……んー、別に。顔をみたらもう満足した。元飼い主としてね」
ここにいるのならいいよ。