犬との童話な毎日
「近くに行けと言っているんだ」
「……え?それって飼い主がここにいるってこと?」
黒曜に抱かれているクロを振り返れば、つぶらな瞳があたしを見ていて。
くわえられたままのお人形も、真っ直ぐに視線を合わせて来ている気がする。
気のせいだとは思うけど。
「……もー、分かったよ。どの子?」
はっきり言ってくれないと分からないんですよ、全くもう。
あの子だ、と言われて目線を向ければ、そこには公園の端の草むらでごそごそしている子供の背中。
その傍らには虫かご。
んー。
さて、どうしようか。