恋の逃避行は傲慢王子と

 彼女に必要なものは、安らげる空間。それと、ちょっとした出会い。あと、より女性らしさを持つための恋という甘いスパイスも。



 この結婚についての一件はアビーが変わろうとすれば、必然的に片づくだろう。なにせ、アビーは自分を責めるという行為をしなければ、とても芯が強い女性なのだ。それは親友である自分がよく知っている。だから頑固親父なんて敵ではない。




「ええ、やってみるわ。でも、どうやって助けてくれるっていうの?」

 うなずいた後、アビーはひとつ考えるようにしてクローイに尋ねた。


「そんなのは朝飯前よ。なんたって、わたしはコネリー財閥のひとり娘。できないことなんてないわ」


 クローイは自信にあふれた口調でそう言うと、アビーに向かって、ひとつ、ウインクをした。



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