恋の逃避行は傲慢王子と
六帖二間の洋間には大きな窓があり、そこから見えるビルの夜景はとても綺麗で、夜になると、まるでこの世に存在する宝石すべてを散りばめたかのような輝く光たちが浮かび上がる。アビーはここから見る外の景色がとても好きだった。
こういう状態でなければとてもロマンティックに過ごせるのに……。
アビーは膝の上で拳をつくりながら、今の状況を残念に思った。
「それで? いったいどういうことなのか教えてちょうだい?」
クローイは、アビーと向かい合うソファーに座り、自分と彼女を隔てているガラステーブルから身を乗り出して尋ねた。
彼女は細い眉を潜め、とても心配そうだ。
その姿を目にしただけで、アビーの身を案じてくれているということがよくわかる。
「じっ、実は……」