シンデレラガール
「聖奈、行ける?」


ヒロちゃんが、準備を終えたあたしに尋ねた。


「行きます」


あたしはゆっくり立ち上がり、控え室を出た。


「聖奈のスイッチが入った」


そう言っていたヒロちゃんの言葉は、あたしの耳には届かなかった。

会場裏で、自分の番を待つ。

会場では、もうドラマの製作発表が始まっている。


「今回。ヒロイン役を演じる女優さんとは、みなさんはまだお会いになっていないんですよね?神崎さんは、どんな方が演じられると思いますか?」


誰?神崎さんって、、、

そう思い、裏からキョロキョロと探す。


「そうですねぇ。監督が口説き落とすのに、苦労したとおっしゃっていたので」


神崎さんは、監督と顔を見合わせ、笑みを溢す。

嘘くさっ。

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