カットハウスやわた
ランチが終わると、無事に部屋まで送り届けてくれた。


「じゃあ、またね。オレのかわいい子猫ちゃん」


子猫⁉︎鳥肌が立った。
とりあえず部屋に戻ったが、荷物を片付ける気にもなれなかった。


「あ、そうだ……」


私は、ひとりつぶやくと、部屋を出て、商店街に向かった。


八幡さんの店に行く…前に、商店街を散策することにした。


小さな商店街だけれど、スーパーに行かなくてもこと足りる感じがした。昔ながらの古い店もあれば、最近できたような新しい店もあった。


商店街って馴染みがなかったけれど、こうやって散策すると、なかなかおもしろい。精肉店のコロッケや、惣菜店のおかずたちも魅力的だ。そして、なによりもお店の人たちが明るい。商店の数だけ笑顔があふれている。


ぐるりと一周してから、八幡さんの店で足を止めた。今日も八幡さんは、左手で器用にハサミを操り、お客様の髪に優しく触れていた。



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