カットハウスやわた
帰ってきた女
「いただきます」


ふたり、同じタイミングで言うと、カレー南蛮をすすった。


「カレーにそば。意外といけますね。おいしい」


カレー南蛮は今まで食べたことがなかったけれど、うどんより好きかもしれない。


「よかった」


自然とこぼれた私の笑みに合わせるように、八幡さんも笑った。


「でも……バーベキューに行かなくてもよかったんですか?」


「強制参加じゃないからね」


「……すみませんでした……」


「別に、綴喜さんが謝ることはない。オレがざるそばを食べたかっただけ」


その会話を最後に、お互い無言になった。お互いの、そばをすする音だけが妙に大きく感じた。


「熊野さんに、告白されました……」


カレー南蛮のつゆまで完食すると、ぽつりとつぶやいた。八幡さんには聞いてほしいと思ったから。


「コーヒーを淹れるから、うちでゆっくり話そうか?」


私がうなずくのを確認すると、八幡さんがごちそうさまとつぶやき、伝票に手を伸ばした。




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