カットハウスやわた
ドアを開いたのは、髪の長い、スタイルのよい女性だった。ノースリーブのブラウスに白のパンツ。どこかのファッション雑誌から、飛び出してきたようだ。


そんな女性が、商店街の小さな散髪屋に髪を切りに来るとは、思えない……。


「麗奈さん……」


麗奈……さん?八幡さんの知り合いなのかな?麗奈さんと呼ばれた女性に、視線を送った。


「正海、もう新しい彼女ができたの?」


ち、違う……私は、声にならず、首を横に振った。八幡さんを呼び捨てにするなんて……身内か?


「違うよ。店の手伝いをしてもらっている、綴喜さん」


八幡さんに紹介され、慌てて頭を下げた。


「綴喜さん?申し訳ないけれど、あなたはもう店に必要ないわ」


麗奈さんはそう言うと、私たちのテーブルに歩みよった。そして、八幡さんに向かって言った。


「正海、やり直しましょ?」


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