HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
吉良と優奈が結婚…
想像したくもなかった。優奈に対する愛情から、俺の心には身勝手な思いばかりが堂々巡りする。
「優奈さんの退職願は受理する。佐野部長…君が人事部に行って退職に必要な書類を揃えてくれ」
「優奈が会社を退職しても…」
「君の言いたいコトは判っている。わしも鬼じゃない。人としての情はある。心配しないでくれ。そのかわり、君は亜矢子を大切にしてくれ」
「承知しました…」
俺は踵を返して社長室を出て行く。あの椅子に座っていたのは情に厚い近江前社長。
あの人に情を口にされても、ピンと来ないのは何故だろう。
口先だけだと、判っているからだ。計算高くて金儲けして私腹を肥やすコトしか頭にないお人だ。
だから、俺は優奈に少しでも多くの財産を相続出来るように亜矢子との結婚を承諾した。愛は大切だけど、金が無いのは惨めだ。
金で苦労した俺が一番知っている。
令嬢の優奈を俺と同じ苦しい目には遇わせたくない。
想像したくもなかった。優奈に対する愛情から、俺の心には身勝手な思いばかりが堂々巡りする。
「優奈さんの退職願は受理する。佐野部長…君が人事部に行って退職に必要な書類を揃えてくれ」
「優奈が会社を退職しても…」
「君の言いたいコトは判っている。わしも鬼じゃない。人としての情はある。心配しないでくれ。そのかわり、君は亜矢子を大切にしてくれ」
「承知しました…」
俺は踵を返して社長室を出て行く。あの椅子に座っていたのは情に厚い近江前社長。
あの人に情を口にされても、ピンと来ないのは何故だろう。
口先だけだと、判っているからだ。計算高くて金儲けして私腹を肥やすコトしか頭にないお人だ。
だから、俺は優奈に少しでも多くの財産を相続出来るように亜矢子との結婚を承諾した。愛は大切だけど、金が無いのは惨めだ。
金で苦労した俺が一番知っている。
令嬢の優奈を俺と同じ苦しい目には遇わせたくない。