HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
「下がっていいぞ…」



「それでは、社長…失礼します。行こうか?優奈さん」


私の名前を呼ぶ佐野部長の声は恋人の名を呼ぶような甘さを滲ませる。彼の声質は私の好みのテノール声。


甘美に響く声音に私の胸は高鳴り、鳥肌が立った。




「…あ、はい」



私は返事のテンポを遅らせて、ソファから立ち上がった。



私達は社長室を出て、オフィス用のグレーの絨毯が敷き詰められた廊下を歩いて、エレベーターホールに向かった。













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