HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
俺はそのまま会社を飛び出してしまった。




寒さに凍え、コートの襟を立てて首許をガードする。



並木の枯れ果てた木々は宵闇の空に網目のように枝を伸ばしていた。



粉雪が灰色の空から冷たい風に吹かれ、落ちるように降ってくる。




雪まじりの夜空を見上げて、俺はふと考える。




亜矢子が生崎課長に走ったのは仕方がないコト。俺は優奈の為だと言い放ち、本気で愛してると涙を流して告げた亜矢子と結婚した。




亜矢子の欲しかったのは同じ人生の道ではなく、俺の心。





同じ部屋に住みながら、別々の部屋で寝ていた。



他の女を愛する夫と過ごす生活は亜矢子にとって辛い日々だったと思う。



そんな折に、自分を愛してると言う生崎課長に言い寄られ、亜矢子は不倫の関係に落ちたんだ。



『中絶』を口にした亜矢子の顔は辛そうだった。




















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