HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
セレブな煙草の匂いが私の抵抗する力を奪っていく。



煙草混じりのキスは嫌いじゃない。


部長は私の唇をこじ開けて、口内に舌を割り入れて来た。ぬめった熱い部長の舌が私の舌を器用に絡めとって、甘い濃厚な官能を引きずり出す。



脳内には断片的だけど、昨日の夜の情事が鮮明に甦る。



黒髪を乱し、私の身体を組み敷く裸の部長。


その姿は妖艶で耽美な獣だった。



身体の奥からせり上がる甘い悦楽。


その悦楽は満たされないまま…部長は唇を離した。私達の唇の間には白い糸を引いたけど、すぐにその糸は途切れてしまった。

でも、私の身体は悔しいけど、部長のキスに未練を残していた。







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