もう弟なんてやめてやる。
「雫が心配で飯田くんと残ってたの。そしたら、怒鳴り声みたいなのが聞こえたから…」



穂乃華が雫を支えて、

くしゃくしゃに乱れた
雫の髪を整える。


それを見て、
飯田が百合の前にしゃがみ込んだ。



「…お前さ、そんなに陸が好きか。陸のどこが好きな訳?」

「!?」

「普通、好きな奴が嫌がることはしないもんじゃないの?」

「…何、言って…私は陸くんのために…!」

「お前が今やってることは、ただの“脅し”だ。好きな奴に対してすることじゃないよな?」

「っ」

「分かったら、もうコイツらに関わるな」



飯田がギロッと睨みつけると
百合は唇を噛み締めて

その場から走って行った。

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