もう弟なんてやめてやる。
「ちょ…、待って。え?話って…それ?」

「………うん」

「ごめん、…ちょっと、頭が混乱してる」



だって、
雫が俺を好き…?

そんな夢みたいなこと、


──────あるわけない。



「姉弟として、じゃなく?」

「男の人として、好き」

「本気で、…言ってるの?」

「…冗談でこんなこと言う訳ない!あたし、陸が好き」



真っ赤な顔でそう言う雫に
涙が出そうになった。


“姉弟は結婚できない”


あの言葉を聞いたあの日から

ずっと叶わないと
報われないと思ってたから。


だけど、

“姉弟は結婚できない”

これは変えられない事実な訳で。


俺が雫を幸せになんてしてあげられないのも、事実…


落ち着け。
舞い上がるな。

現実を、見ろ…………



「………ダメだよ。俺は、雫を幸せにしてあげられない……」


俺は弟だから…

堂々と付き合えない、
外で手も繋げない、

雫を彼女だって
言うことすら許されない…


恋人らしいことなんて
何もしてあげられないんだ…

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