もう弟なんてやめてやる。
「雫には…、俺なんかじゃなくて…もっといい奴が居るよ」



そうだ…
雫は俺なんかじゃダメなんだ…

こんな幸せなんて見えない世界に
引きずり込んでしまって


──────いい訳ない。

雫には明るい未来があるんだ。



「っ、どうして…?」

「…………」

「どうしてあたし達姉弟なの…?」


陸の言葉に、態度に、

膝から崩れるように
雫が床に座り込んだ。


「好きなのに…。人を好きになっただけなのに…!」

「っ」


ポタポタと床に落ちてく
雫の涙を見ながら、

俺は耐えるように涙をこらえる。

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