【完】本当の恋
忘れられなくて 谷川愛生
「行ってきまーす」
「「いってらっしゃい」」
あの日から私たち家族は変わった。
前より会話が増え仲良くなった。
「愛生。おはよ」
「桃子!おはよ」
「なんかあった?」
「え?」
「愛生、前より明るくなったね」
「そうかな」
放課後になりいつもの帰り道。
「愛生!」
振り返ると浩太さんがいた。
「家に寄って行かない?」
「うん」
私たちは、浩太さんの家に行く。
浩太の優しく甘い匂い。
私は浩太さんに後ろから抱きついた。
「愛生?」
「浩太さん。私、浩太さんのこと好き」
「え?」
「彼とより戻したなんて嘘」
「え!?」
「里奈さんのこと彼女と思って意地はっちゃって」
「愛生」
浩太さんは抱きしめている手をほどいた。
「浩太さん?」
浩太さんは私にキスをする。
ゆっくり唇が離れる。
「愛生。俺、愛生のこと幸せにする」
「浩太さん」
「愛生。俺と付き合ってください」
「はい。よろしくお願いします」
「よっしゃ!」
「きゃ」
浩太さんは私をお姫様抱っこした。
「愛生。もう悲しませたりしない」
「うん」
「好きだよ」
「私も、大好き」
私たちはキスをする。
深くて甘いキスを。
私は、浩太さんの優しさに甘えてしまう。
「愛生。すきだよ」
浩太さんは私の首にキスをする。
「浩太さんっ」
「愛生。俺がお前を幸せにする」
浩太さんの声が孝佑の声に聞こえた。
「キャッ」
私は、浩太さんを押す。
「愛生!?」
「ご、ごめんなさい。やっぱり、私・・・」
私は泣き崩れた。
「忘れられない。孝佑のこと。それなのに、浩太さんと付き合うなんて。浩太さんに申し訳ないよ」
「そんなことない。俺が忘れさせるって言ったろ?」
「・・ありがとう。でも、こんな気持ちで浩太さんと付き合えない。ごめん」
「愛生・・・」
「私、帰るね。告白の返事、もうちょっと待っててもいい?」
私は浩太さんの家を飛び出した。
『孝佑。あなたはどうして私の心から離れないの』
「孝佑のバカっ」
「愛生っ。俺が何?」
「こ、孝佑っ」
孝佑が私のほうに近づいてくる。
「俺が、バカ?」
「ち、違うの。私は・・」
ドンッ
私は壁に押し倒された。
「こう、すけ?」
「愛生。俺、お前が好き。諦められない」
「・・・私も、孝佑のこと好き」
「じゃあ、俺と・・・」
「でも!友達としてで、もう、あのころには戻れない」
「・・・俺に、チャンスをくれないか」
「え?」
「俺と、デートしてくれ」
「デート・・・」
私は、真剣な孝佑の目を見る。
すると、孝佑の唇が私の唇と重なる。
「愛生?」
声のほうには浩太さんがいた。
「こう、た、さん」
「誰?」
「お前が孝佑か?」
「あ、そうですが」
「愛生、行くぞ」
私は、浩太さんに腕を引っ張られる。
「浩太さんっ」
浩太さんは何も言わず私を引っ張った。
「浩太さん?」
浩太さんは、私を近くの公園に連れて行く。
「俺に内緒であいつと会ったのか」
「違うよ、偶然会って、それで」
「それで、キスされたのか」
「見てたの!」
「俺の時は嫌がったのに。あいつは嫌がらなっかったな」
「それは、その」
パシッ
私は、浩太さんにビンタされた。
そして、強く抱きしめられた。
「俺は、愛生だけを信じてるんだ」
「浩太さん・・・」
「ごめん。痛かっただろ?」
浩太さんは、赤くなった頬を優しく触れる。
「大丈夫。浩太さん、心配かけてごめんなさい」
この時の浩太さんはすごく怖かった。
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