-かなめひめ-

 呪いを恐れる住民たち。町は混乱に陥る。

 その時、呪いを掛けた張本人である巫女が、まるで助けを請う信者にその手を差し伸べる神のように、住民たちに助言したという。


____印を持つ者を葬れよ。
さすれば充満していた呪いは解かれ、お前たちは安息を手に入れることができるだろう。


 憎悪する巫女。
 呪いに対しての恐怖。


 住民たちはそれらに悩まされた。どちらかを取るのかなんて、住民たちには判っていたと思うのに。


 結局住民たちは、印を持つかつての住民である人間を殺したのだという。

 友人や親族を呪いによって大量に亡くしていたため、相当のパニックになっていたと言われている。


 殺害したその数日後、呪いはさっぱりと消えた。

 だが、そのまた数日後に、同じような印を抱えた人間が現れた。
 それを機に、あの呪いが、その人間の周囲に再発したのである。


____このままだと、何の罪もない人々が死んでしまう。


 印を抱えた人間は、こうして他の人間たちに殺されていった。


 呪いは解かれるが、再び呪いは復活。印の人間を殺し尽くしても、これはずっと繰り返された...という。
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