大好きな君に
彼女の白い肌と黒いくっきりした目に吸い込まれる。

『失礼します。ごゆっくりどうぞ』
むしろ一生いてください!と心の中で付け加えた。

まだ、心臓がバクバクして鳴りやまない。

彼女のアイスティーが半分くらいになった頃。


カランカラン

『いらっしゃいませ。』

一人の男性が現れた。

『待ち合わせで先に女の人来てなかった?』

ドクン、ドクン

まさか…?


『あ、こっちこっち!』

彼女が笑顔で男性を手招きした。

…仕事してるときとは全然違う笑顔。

つまり、恋してる笑顔。

そっか…そっか…

彼氏がいないと思ってたのは僕の勝手な妄想だったんだ。


楽しそうな声がする。


『今日、部屋見てきたんだけどさ?』

『ふぅん?どうだった?』

そんな声が聞こえる。

僕の淡い恋は、見事に砕け散った。


それから1ヶ月後、彼女は向かい側の店に、姿を見せなくなった。


でも僕は忘れない、素敵な1ヶ月だった。



「よし!次の恋探すぞー!」
「うるさい!」
「いてっ!」

―END―

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