Dear・・・

打ち上げ[Keisuke.side]

翌日、ライブは成功に終わり、海岸近くの店で打ち上げが開かれていた。


慶介は隅で座り携帯を見ている。


やはり翔太の姿はない。


礼人は慶介へと近付いていく。


「愛想悪くない?慶介くん」


そう言い、携帯を取り上げた。


「礼人に言われたくないよ」


冗談半分で返しつつ、慶介は礼人の前に置かれた携帯に手を伸ばす。


だが、その手を礼人に止められる。


「最近お前どうした?翔太との仲」


切ない表情で言う礼人に、慶介の胸が波打った。


「妙によそよそしいっていうかさあ…俺、お前らのこと憧れてたんだよ」


少し間があく。


その間も礼人は慶介から視線を逸らさないでいる。


「俺さ、最近まで優人の事嫌いでさ、喋ったことなかったんだよ…今もたまにどう接して良いか分かんない時もあるし…過ごしてる時間が少ない分、弟っていうか友達って感じだな」


微笑む礼人。


「だからお前みたいなの本当憧れてんだ。年が離れても気の許せる親友に」


礼人の言葉が慶介の胸を貫く。


「親友…そうだよな…親友…」


壊れた玩具の様に何度も同じ言葉をつぶやく慶介。


礼人は不思議そうに見つめることしか出来ないでいた。


と、礼人の前に置かれた慶介の携帯が着信を告げる。


慶介は礼人の手を振り払い、携帯に手を伸ばした。
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