Dear・・・

夕方[Osamu.side]

やはり今回は上玉だ。


治の胸は高鳴っていた。


メールのやり取りに時間を忘れ、外はもう薄暗くなっている。


相手は北海道。


気安く会える距離ではない。


会いに行こうかと考えるも、治が北海道に行ったことがあるのは何年も昔で、しかも一度きり。


土地勘がなければ、行く金もない。


だからと言って、簡単に諦めることが出来るわけない。


電話が出来ないとは言え、相手の声を機械越しではなく、直に感じたい。


人生や恋に悩む初な体を貪りたい。


どうにかして会う方法を考えるが、良い方法は浮かばない。


一先ずこの少年を抱きたいと言う欲望を抑えるため、治は送られてきた写真を見ながら自慰をはじめた。


誰もいないこの家で、治のくぐもった声が静かに響き渡る。
< 55 / 214 >

この作品をシェア

pagetop