Ｄｅａｒ・・・

Ｂａｒ[Tomoki.side]

慶介と翔太が店を出てしばらく、礼人と優人は店を出た。


智貴は当然の事、智貴の家に泊まる博昭だけが店に残っている。


まだ智貴は飲みたいと、席をカウンターに移し二人で飲みなおしていた。


智貴の母は少し前に、眠いからと二階へ上がっていった。


「なあ、家に帰りたくないほどの喧嘩って何したの？」


先ほどから少し気にかかっていたことを智貴が尋ねた。


「してないよ」


その突拍子のない返答に、智貴は目を見開いて驚く。

しかし博昭は智貴の反応など気にする事無く、へらへらと笑いながら一口お酒を飲む。


まだ酔いが覚めていないのだろうともう一度尋ねるも、博昭の返答は同じだった。


「じゃあ、なんで？」


「気分だよ。ただ、今日はあの二人と一緒にいたくなかったの」


笑顔のわりには、きつい事を言う博昭。


智貴は不思議そうに博昭の顔を見る。


博昭はその智貴の顔に少し優越感を感じ、笑いながら言った。


「別に二人が嫌いだって言ってる訳じゃないよ。どちらかといえば、ってか、好きだし。まあ、気分だね」


智貴は未だ不思議そうに、博昭を見つめる。


「たまにあいつらのイチャイチャがウザくなるんだよね。気使うっていうのかな。俺がいてすいませんって謝りたくなるしね」


そこまで言うと、博昭は一息つき、酒を口へ運んだ。


未だに智貴は博昭の話の脈絡を掴む事が出来ない。


じっくりと考えながら、智貴も酒を口へと運んだ。


先ほどから、何も理解していないような智貴を、博昭は面白そうに見つめていた。