Dear・・・
そしてしばらくして告げた。


「あの二人、付き合ってるんだよ」


智貴は驚きのあまり言葉を失った。


酔いは一瞬で醒めた。


それとは対照的に、博昭は驚く智貴の姿を満足そうに見つめている。


「確かめたわけじゃないんだけど、絶対だね」


少し誇らしげな博昭の顔。


「本当気持ち悪いべ。俺さあ、なんかおかしいなって思ってよく見てたわけよ、二人を。したら夜道二人で手繋いで、チュウまでしてやんの」


智貴の驚きなど気にする事無く、博昭は笑いながら話し続ける。


「普段も二人妙に近いじゃん?今日も帰りにヤッちゃうんじゃん?本当、俺には理解出来ないわ」


博昭はまだ何か言っているが、智貴は頭の中を整理させるので夢中だ。


呂律が回らないほど酔っている博昭の言葉を鵜呑みにする事は出来ないが、一概にこれがからかいだと決め付けられないでいる気持ちもあった。


複雑な面持ちで、智貴はまた一口酒を飲んだ。
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