獣耳彼氏



「俺、やっぱり水嶋のことが好きだ…俺じゃダメか…?」


「えっ?!」



まさに昨日と同じ言葉でもう一度告白された。


まさか、告白して断った記憶も消えているの?だから、また告白してきたということ?


だとした、司さん記憶消し過ぎですよ…


なんで、告白の事実も消しちゃったの…


また、振らないといけなくなっちゃったじゃん。


結構、心が痛くなるのに断るのって。


だからといって、当たり前だけど部長とは付き合えないから断るしかない。



「あの…」


「真琴」



聞き覚えのある声音。ドキリと胸が鳴る。


そう体が反応するのはあの人しか居ない。



「秋月くん!どうしてここに」


「真琴の友だちがここだと教えてくれた」


「京子ですか…」



こくりと頷く秋月くん。そのまま歩き出し部長の横を通り私のすぐ隣りへとやって来る。


その様子を部長は何も言わずに見ていた。


じっと分かっていたような表情で。



「ははっ、彼氏の登場か…」


「あの、部長…」



乾いた笑みを浮かべた部長。


彼氏、彼氏ではないよね。まだ、私と秋月くんは。



「いいんだ。分かってたから」


「悪いな。真琴は俺のだ」


「追い打ちをかけるなよな…水嶋、最後に伝えたかっただけだから」



だから、気にするな。と部長は続けた。



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