獣耳彼氏



小さい頃から空手を習っている私。


部活でも空手をしている以上、自分の拳は凶器ともなってしまうことを知っているから。


私はやんわりとその手を払うと満面の笑みで金髪頭に告げる。



「結構です」



キラッキラの笑顔だぞ、頬はピクピクと引き攣ってるけど。


しかし、それが逆に癪に触ったのか、金髪頭が暴挙に出た。


私の腕を強引に引っ掴む。


それも、凄い力で。振り解こうにも出来ない、そんな強い力。


ギリギリと手首を締め付けられる。


か弱い女子なら引っ張られてそのまま連れて行かれてしまうような力。


ま、私はそんなか弱い女子には含まれてないけどさ。


自分で言っちゃうよ。私は強いもの。


お兄ちゃんよりも強い私だよ。



「来いって!」



金髪頭が怒鳴るように言う。


断られたことでプライドが傷ついたのかもしれない。


掴む力に加えて、引っ張る力も含まれる。



そんな、がめついて…


無理やり連れて行ってどうするつもり?


周りを見てみてよ。いろんな人がこっちを見てる。


こんな注目を浴びてさ。どうしてくれるの。


誰も助けようともしてくれないし。


こうなったら、自分でどうにかしないとじゃんか。


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