獣耳彼氏



部活も終わりこの時がやってきた。


待ちに待ったこの時が。ドキドキのこの瞬間が。



「アキヅキくん居るかね〜」



ドキドキワクワクと京子が言う。


京子以上にドキドキしてるのはこっちだっていうのに。


さっきから心臓がドキドキを通り越してバクバクしてる。


痛いくらいに心臓が動いている。


下手したら隣に居る京子にも聞こえてしまうのではないと思うほどに。



…大丈夫。秋月くんはきっと居る。


どこからくる根拠なのか、私には自信があった。


秋月くんは待っていると。



なるべく待たせないようにと、急いで着替えると京子と一緒に道場を出た。


そして、やはり道場の前には部長の姿。



「よし、来たか!水嶋」


「一緒には帰りません」



部長が言うよりも先に先手を打つ。


ローファーを履くと一直線に校門を目指す。


そんな私の後を追いかけるようについて来る部長と京子。


ちなみに、京子は部長を抑えるという役割を担っている。



「部長〜諦めたほうがいいですよ〜」


「なんでだ」


「なんでもです〜」



会話が聞こえてくるが、私は気にしない。


早く早く。私をこの呪縛から解放して。


このいつまででもついて来る部長の呪縛から。早く!



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