バカな女【短編】
バカな女



好きな人のアドレスを手に入れた。
それだけだったら良かったのに。


「彼女とのセックスに悩みすぎて、動物と人間の違いから勉強したわ」

「そんな明け透けに言わないでください。」

「いや、本当に感動ものだと思った。だって、俺、セックス上手くなった気しかしないし」



私はなんでこんな男を好きなんだろう、と心底思った。こないだまでは、ただの好きな人だった。盲目の私は視界が開けた瞬間、幻想との差が埋められなくて常に戸惑ってる。

正直冷めた気持ちも、ある。

それでも片思いは片思いなのだ。

何が悲しくて好きな人の性事情なんか聞かなくちゃならんのだ。

「彼女いるのにこうして私遊んでもらっていいんですか?」

彼はあははと笑う。

「彼女には言わないしいいよ」

彼の部屋はすっきりしているが、テレビの前だけは配線地獄だ。ようはゲーマー。私は本当の遊び相手。
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