【完】ズルい瞳[短編]
美術部の部員は私を含めて3人。
だけど個々の活動が多くて、放課後に美術室に訪れるのは毎回私1人だけ。
「あ……じゃあ村瀬さんの創作の邪魔になるので、私達は職員室に戻りましょう、ね?城崎先生」
萌香先生は蒼ちゃんの腕を取りながら、それはそれは嬉しそうに出口へと向かっていく。
だけど
「あ、いや……桜井先生。副顧問をやると決めた以上、少しは美術のことに触れておきたいので俺ちょっと残ります」
「え、そうなんですかぁ?あ、じゃあ私も……」
「や……しかし、桜井先生のこと教務主任が探してましたよ?」
「げ……じ、じゃあ失礼しますね」
蒼ちゃんの言葉に萌香先生は真っ青、慌てて美術室を後にして行った。
「…………」
「…………」
そして、残されたのは……。
「副顧問なんて受けちゃって良かったんですか?」
少しだけ皮肉たっぷりに呟く。
「………俺をなめるな。それに頼まれたからなったワケじゃねぇ。俺が自ら志願したんだよ」
オレンジ色の夕日に染まる美術室は
蒼ちゃんをやけにカッコよく見せた。