【完】ズルい瞳[短編]
「………と言うわけで、お前にはちょくちょく学校に顔出してもらうから」
「…………」
放課後の歴史資料室。
クラス委員の私は、またしても蒼ちゃんに呼び出され
夏休みの課題チェックをする係に、いきなり任命されてしまう。
「お前、学力的にも教師の評価的にも上々だし……こんな仕事、余裕だろ?」
「………そんなことは」
あまり気乗りはしないけど
学校に来れば、夏休みでも蒼ちゃんに会えると言うならば……。
「俺も今年は教師1年目ってことで、毎日学校に来なきゃなんねぇみた……」
「や、やります!」
思わず即答してしまった私。
「おぉ、マジか!?助かるよ、サンキュ」
「はい。ちょうど作品展の準備もありますので」
「おぉ、そうだったな」
蒼ちゃんが思いのほか喜んでくれたので、何だか照れくさくなってきてしまう。
だけど。
私はここで、ある異変に気付く。
「先生……灰皿は?」
いつもは机の右端の定位置にあるはずの灰皿が
今日は見つからないのだ。
「あ、あぁ。煙草は……やめたんだ」
「…………」
少しだけバツの悪そうな蒼ちゃんに
何だろう、妙な胸騒ぎを覚える。