【完】ズルい瞳[短編]



「はぁ」




美術室で1人、文化祭に出す作品のチェックをする私。




と、そこへ




「ゼェゼェ。ちょっと匿ってくれ」




ワイシャツのボタン全開の




ボロボロ蒼ちゃんが駆け込んできた。




しかも、ご丁寧に鍵まで掛けて。




「いいんですか?採寸しないと衣装が間に合わないですよ?」




少しだけ冷ややかな目で蒼ちゃんを見つめる。




「バカ。採寸なんて、とっくの昔に終わってる。アイツら、俺の身体をベタベタ触ってくんのが目的なんだよ」




「へぇ。それは良かったですね」




棒読み。




「ま、まぁ。それよりお前は採寸終わったのか?」




乱れた服装と髪を整えながら、ゆっくり私のもとへ歩み寄ってくる蒼ちゃん。




「噂じゃ、お前が一番の大当たりだそうじゃねぇか?」




「は……い?」




「信之介が“くじ引き”に何やら細工してたぞ?お前が給仕しないで済むようにな」




「………」




信之介くんなら、やりかねない。




でも、それはちょっと助かるかも。




だってメイドさんのコスプレなんて恥ずかしいもん。




「あ、でも信之介のくじも大当たりらしいな?」




「そうなんですか?」




「まぁ自分当たる確率低くして、裏で少しでもお前と長く一緒にいたいって魂胆だろ?」




「………」




「だから俺、アイツがいない間に大量の“藤堂信之介くじ”を入れておいてやったけどな」




「………」




信之介くんも信之介くんだけど




蒼ちゃんも蒼ちゃんだ。




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