【完】ズルい瞳[短編]
蒼ちゃんの叶えたい夢の話が
いつの間にか“質問大会”に変わっているようだった。
「先生の好きなタイプは?」
「好きな食べ物は?」
「休日は何してるの?」
これまで、こういった質問に対して毎回のらりくらりかわしていた蒼ちゃんだったけど
「卒業も近いしな。答えられるだけ答えてやるよ」
今日は真正面から向き合うつもりのようだ。
だけど
彼女の有無とか……正直、聞きたくないことだな。
私はそっと窓の外の景色に視線を向けた。
「まず彼女はだな……ズバリ!いない」
「え………」
思わず視線を蒼ちゃんへと戻す。
「好きな女性のタイプは……そうだなイジメ甲斐のある奴だな。俺、攻め系だから」
「………」
女子達は歓喜の叫び声を上げているけど
私は……呆れてしまい開いた口が塞がらない。
「好きな食い物はラーメン。休日はたいてい寝てる」
「…………」
特にこれといった普通の答えなのに
クラス中の女子達は、それをウットリとした表情で聞き入っている。
「まぁしかし、俺の夢については後日……そうだな、卒業式の日にでも教えてやるよ」
蒼ちゃんのその言葉と同時に終業のベルが鳴った。