【完】ズルい瞳[短編]
城崎 蒼の事情
やっと
あおいを俺だけのものに出来た。
昔から、仔犬のようなその無垢な瞳に
俺しか映してこなかった、あおい。
俺もまた、そんなあおいが可愛くて仕方なかった。
『蒼くん。あおいと一緒になりたいのなら、安定した経済力のある男になってね?
あおいには、私のような苦労はさせたくないのよ』
これが祥子さんの口癖だった。
そんな言葉を鵜呑みにし
教師になるため、必死に勉強した俺も
相当イタイ奴だろうけどな。
しかし、実際“教師”にはなったものの
信之介が毎日のように、あおいにちょっかい掛けるのを見て
羨ましくもあり、また内心ヒヤヒヤしていた俺。
あおいの気持ちは、いつだって俺にある……そう、わかってはいても
クラス委員に無理やり任命し、何だかんだ言っては呼びつけ
俺のそばに置いたのだ。
あおいの気持ちが
決して俺から離れないように。