【完】ズルい瞳[短編]
城崎 蒼の事情



やっと




あおいを俺だけのものに出来た。




昔から、仔犬のようなその無垢な瞳に




俺しか映してこなかった、あおい。




俺もまた、そんなあおいが可愛くて仕方なかった。





『蒼くん。あおいと一緒になりたいのなら、安定した経済力のある男になってね?


あおいには、私のような苦労はさせたくないのよ』




これが祥子さんの口癖だった。




そんな言葉を鵜呑みにし




教師になるため、必死に勉強した俺も




相当イタイ奴だろうけどな。





しかし、実際“教師”にはなったものの




信之介が毎日のように、あおいにちょっかい掛けるのを見て




羨ましくもあり、また内心ヒヤヒヤしていた俺。




あおいの気持ちは、いつだって俺にある……そう、わかってはいても




クラス委員に無理やり任命し、何だかんだ言っては呼びつけ




俺のそばに置いたのだ。




あおいの気持ちが




決して俺から離れないように。






< 69 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop