【完】ズルい瞳[短編]
「うわぁ~きれ~い♪」
制服姿のままのあおいが、無邪気にスカートの裾をなびかせながら
リビングを跳ね回る。
半年前、購入した新築マンション。
その時から既に俺は住んでいたのだが
部屋に人を上げたことも無かっただけに
ここにあおいがいる、というだけで不思議な空間だ。
「蒼ちゃんのキッチン、生活感まるで無いよ?」
「当たり前だ。そこはお前がこれから使うと思って、変に手を付けなかったからな」
置いてあるのは、せいぜいコーヒーメーカーとトースターくらいだ。
いや。もともと部屋全体、必要最低限のものしか置いていない。
「いろんなもの2人で買い揃えていきたかったしな」
俺のその何気なく放った言葉に
「蒼ちゃんっ!」
突然、あおいが俺の胸に飛び込んできた。
「お、おわっ!?どうした?」
「嬉しいの。ありがとう蒼ちゃん」
「…………」
ホント、こいつの天然色香は心臓に悪い。