退屈しのぎ
短編小説
  男の子の名前は青磁(せいじ)と言い女の子の名前は萌黄(もえぎ)と言う。この二人はそれぞれの名前が色に関わる名前だったのがきっかけで、仲良くなって以来の友達同士である。




「萌黄って言う名前は私の母がペリドットと言う天然石が好きだから付けたんだって言っていたわ。青磁ってのは確か鼠色(ねずみいろ)の事よね。もしかして青磁のお母さんはグレーが好みだったのかしら?」




「違うよ。僕の名前に意味なんてないんだ。母さんは何かと2つ上の伯母ちゃんに対抗意識を持っていてさ。その伯母ちゃんが生まれた娘に赤紫色をした『花蘇芳(はなずおう)』にちなんで、『蘇芳(すおう)』って言う名前を付けたんだ。だから母さんは僕が生まれた時に負けじと『青磁』って言う変わった漢字の名前を付けただけなんだ。ククッ笑っちゃうよね。ただ変わってる名前だったら何だって良かったんだ。僕の母さんは」




「ふーん。蘇芳ってお花の色なんだ。でもこうして改めて考えて見ると私達しっかりと色繋がりだね。私も萌黄って言う名前だし。若草色にグレーに赤紫か。でも良く考えて見たらちょっぴり変わった色ばっかりよね。しかもどれもみんな脇役って感じ。ちなみに私的には『青磁』って言う名前って漢字がとってもステキだと思うな。
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