闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる


「あの時の胡乱はどこへ行ったのかしら。」


「あの時の性格なんかとうの昔に捨ててしまったね。あのころからこの性格が嫌いでね。どうにかして変えたかったんだ。そのときだよ。お父様に声を掛けてもらったのは、弱い自分を強い自分へと変わったんだ。こんなにうれしいことはないね。」


私はあの頃の胡乱のほうが好きだ。


今でもその思いは残っている。


「このほかに言うことはあるのかい?暁」


胡乱はあの時と同じ笑顔で聞いてきた。


今のあなたの笑顔は嫌いだわ。


あの頃に戻ってほしい。


でもそんなんことも言えないくらいに私の体力は消耗していた。


「もうこいつはダメか。じゃぁな・・・暁」


私の頭を掴んでいる手に力が入ってきてジワリジワリと痛みが襲ってくる最期の力を振り絞って口を開け


「大好きだったよ胡乱・・・来世でまた会おうね。」

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