学校一の王子の恋愛ゲーム


「…。」




どうなるんでしょ、これ。


優芽は両方を見遣る。




「わかった。相手してあげるよ。君なんか指一本で十分。」


「じゃあその指、切り落としてあげるよ。」




ぴっ、と、凜羽の刀の先が恭弥に向けられた。




「きなよ。」




恭弥は不敵の笑みを浮かべる。


凜羽は瞬間右足を蹴って飛び上がった。




切り掛かる標的は右方向へ避け、刀は空を切り、床へ刺さる。


凜羽は抜き取りざまに右へ振った。




刃先は恭弥の左頬を掠め、ぴっ、と紅い血を吹かせる。




「君、以外に強いね。でも、僕には及ばないよ。」




恭弥がパチっと指を鳴らしたとき、一羽ひよこのような小さな鳥が飛んできて、それは身を翻すとたちまち一本の武器へと変化した。




「トンファー?」




凜羽は小首を傾げた。


窓から入る陽で、構えた金属仕立てのトンファーは銀色に光っている。




「君は強いからね、特別に使ってあげよう。」






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