俺様不器用男子の甘い愛情
こんな時に何話していいか分かんなくて、俺はスマホに逃げる。
スマホどこやったっけ……。
茉璃の側にあるカバンを漁って見付けた傷だらけのスマホ。
あったあった。
カバンを元の位置に戻そうとしたところで、俺は気付いてしまった。
茉璃の左側の首筋。
そこに真新しい真っ赤なアザ。
所謂、キスマークってヤツ。
悔しいし、イライラする。
「おいおい、元カレの家来て今カレのキスマ晒してんじゃねぇよ」
「へっ!?えっ、う、嘘でしょ?」
「マジ。せめて見えないように隠せバーカ」
ジャージのファスナーをぐぐっと少しだけ上げた。
有阪のヤツ……腹立つなコノヤロ。
苛立ってる俺は茉璃にバカみたいなこと聞く。
「有阪の?」
「……た、多分」
「絶対そうじゃん。俺と茉璃なんてしばらくシてなかったし」
「そうですよね……」
俯いた茉璃から聞こえてきたのは、鼻を啜る音。
俺……泣かしちゃった?