俺様不器用男子の甘い愛情



泣きながら頷いて、ずっと目を擦る。


泣かしたくねぇのに……。


目を擦るアイツの手を優しく取って、真っ赤な顔を覗き込んだ。


「目擦ったら赤くなるからやめろ」

「うっ、うん………っ」

「有阪のこと好きなら泣くな」

「違っ…うっ……」

「違くない。有阪のこと好きだから、俺をフッたんだろ。今更泣くな」



最悪なこと言ってるなんて百も承知。


俺ばっか苦しくて、ツライ思いすんの嫌なんだよ………。


毎日毎日、うざいぐらい茉璃の笑顔が浮かんでは消えて。



ほんとは、まだお前のこと大好きなんだよ。


今すぐ涙拭って抱きしめてやりたい。


なのに、もう………有阪のだから抱きしめてやれない。


浮気相手になるのはごめんだ。


「泣き止めよ……。有阪に迎えに来てもらうか?」

「ヤダ………。隼世くんがいいっ…!」

「茉璃……」


俺の両腕をぎゅっと掴んで、涙目で見上げてくる。


困ったな……。


お前から浮気発言すんなよ。


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