来い恋
火葬が終わるまで俺は昨日と同じベンチでボーっとしていた。
すると芽衣が俺の前に現れた。
「お兄ちゃんのお母さん安心して天国に行けるね」
そう言ってほほ笑んだ。
「ありがとな・・・」
「私もおばあちゃんが死んじゃった時にお母さんから教えてもらったの。
寂しかったけど私もおばあちゃんとお別れする時笑顔でお別れしたから」
「そうだったのか・・・・」
すると芽衣は急にもぞもぞしだした。
「どうした?」
「あの話ね・・・続きがあるの」
「続き?」
「うん」
何だか言いにくそうにもじもじしてるので教えろと言うと
「笑顔でお別れしてもやっぱり人間だから思い出して
悲しくなっちゃう時もあるの。そう言う時私のお母さんは
ぎゅーって抱きしめてくれたの・・・だから・・・だから・・・」
「だから?」
「寂しくなったら・・・ぎゅーしてあげる」
その一言だった
俺は年甲斐もなくこの11歳の少女に恋をしてしまったのだ。

それから芽衣と会うことはなかったが
親父と吉野のおじさんの付き合いは相変わらずで
よく家にも遊びに来ていた。
その時におじさんから芽衣の話や写真を見せてもらった。
俺はそれからもずっと芽衣の事が忘れられなくなっていた。

その芽衣が偶然にもうちの会社に入社した。
もうこれは運命だとおもった。

昔、母と吉野のおばさんが
俺と芽衣を一緒にさせようって話をしたのを思い出した。
俺は親父に頼んだ。
あの話がまだ有効なら俺は芽衣と一緒になりたいと・・・・
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