来い恋
焼きあがるまでの間に他の準備をすませた。
ふとソファーに座っている亮輔さんをみると目を閉じてる。
もしかして・・・寝ちゃったのかな?
エプロンを外し、ソファーに近づくと亮輔さんはやっぱり眠っていた。
ここ1週間ハードワークだったから疲れているんだろうな・・・
それなのにわざわざ会いに来てくれた。
もし、今日帰り際にあわなければきっと今日うちに来る事はなかっただろう。
何だか申し訳ない気分になった。
私は寝室から持ってきた毛布を掛けてあげた。
「疲れているのにいるのにわざわざ来てくれてありがとうございました」
そういって立ち上がった。
すると私の腕を亮輔さんが掴んで隣に座らされるような形になった。
「え?!亮輔さん寝てたんじゃなかったんですか?」
亮輔さんは目を細め口角をあげ
「今日は、癒されにきたんだけど・・・」
といって私の方に頭をのせてきた。
「そ・・それは帰り際に聞きましたが、もうすぐご飯出来上がるし・・・」
ドキドキが亮輔さんに伝わるのが怖くて立ちあがろうとするのだけど
掴んだ手はいつのまにか恋人繋ぎの様になっており離れられなくなっていた。
「ご飯は後でいい。このまま癒してよ」
癒してって言われても癒し方などわかるはずもない。
「・・・・癒すって・・・・何をしたらいいのか・・・」
消え入りそうな声になっていた。
すると亮輔さんは私から離れると、私の膝の上に頭をのせた
こ・・これって膝枕?!これも初めてなんですけど・・・
顔がみるみるうちに赤くなってきた。
亮輔さんは私の方をちらっと見ると「頭なでて」といって目を閉じた
頭をなでるだけなら私でも出来る。
私は恐る恐る頭をなでた。
亮輔さんの髪の毛は男の人とは思えないほどさらさらで
きもちがよかった。
こんなことで喜んでもらえるならいつでもしてあげれる。そう思った。
その時だった
横を向いていた亮輔さんが向きを変え私を見上げるような形になった。
思いっきり目が合って一瞬固まる。
「りょ・・亮輔さん?」
亮輔さんは黙って私を見上げる。
「ありがと~。凄く癒されたよ。」
目を細めながら微笑んだ。
か・・かっこよよすぎてドキドキが止まらないんですけど。
「そ・・そんな・・これくらい誰だってできるし
、これなら私でもやってあげられますからいつでも言ってください。」
恥ずかしくって少し目をそらした。
すると亮輔さんはにやりと笑うと起き上り
私を自分の方へと引き寄せ耳元で「癒しのお礼をしなくっちゃね」と甘く囁き
首筋にキスしてきた。
え!い、今キスした?
そして癒しのお礼をしなくちゃねって言ったよね?!
お礼はいいです!
頭をなでたくらいでお礼なんてぜんぜんいいんですけどー
私は今から何されるんですか?!!!
もうすぐグラタンが焼きあがるんですけど・・・
グラタンが・・・・
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