来い恋
「はい。今日のご褒美は終わり。ご飯食べよ」
と立ち上がり何もなかったかのようにキッチンへと向かう。
私はしばらく起き上れずぐったりしていたが
亮輔さんは私がぐったりしている間にグラタンとスープを温め直したり、
サラダを準備していた。
やっと平常心に戻った頃には晩御飯がテーブルの上に用意されていた。

さっきまであんなことやこんなことしてたのに
ひと仕事終えたようにさっぱりした顔でビールを飲んで
ご飯をおいしそうに食べてる。
ふと時計を見ると12時を過ぎていた。
「あの・・亮輔さん」
「何?」
「終電もうないかも・・・帰りって・・」
亮輔さんは時計をちらっと見ると笑顔でじゃー今日は泊まってく
と言いながらおいしそうにグラタンを食べている。
「と・・泊るって、ここにですか?」
「ここ以外どこにとまるっていうんだ?」
持ってた箸が落ちそうになる。
「でもベッド…シングルだし・・狭いし・・・」
だんだん声が小さくなる。そんな私を見てくすくす笑う
「いきなり一緒に寝ないよ。せっかく段階踏んでいろいろ教えてるのに・・・
 俺の努力が台無しになる。俺はソファーで寝るから大丈夫。さっきの毛布だけ借りるよ」
そういうと2缶目ビールを開けた。
・・・俺の努力が台無しってどんな計画立ててるの?
一瞬寒気がした。
それから本当に亮輔さんは泊った。
そして私はまたしても眠れなかった。
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