【完】私と先生~私の初恋~
泣かないと決めた思いは、ぽっきりと根元から折れた。


私は立ったまま、涙を堪えきれなくなって下を向いた。


先生はスッと立ち上がると


「あーあ…」と溜め息をつきながら私を抱きしめた。


気持ちが抑えきれなくなって、先生にしがみつく。


先生はそれに応えるように、更に強く私を抱きしめた。


「……僕が好き?」


声が出せずに、大きく頷く。


「…本当はこのままずっと一緒に居たい?」


大きく何度も何度も頷く。


「じゃあもうずっと一緒に居ればいい……


僕も早苗と一緒に居たい。」


やっと言って貰えたその言葉に、私は嬉しくて切なくて、声をあげてわんわん泣いた。


先生と出会ってから、もう7年が経っていた。


私はそのまま暫らく泣き続け、先生は子供をあやすように私をずっと抱きしてめていた。


先生の腕の中が優しくて暖かくて、涙は次第に止まっていく。


ようやく私が泣き止んだ時、先生は「帰りましょうか…」と優しく言った。


「…帰るって…どこにですか?」


呆けた頭で聞き返す。


「帰る場所はもうひとつしかないでしょう?」
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