辿り着いた先は。


綺麗な海。




「わ…ぁ…」


こんなに

綺麗なのかと

息を呑んだ。



「あおいん」



あたしは初めて見る海に感激しているけど。

マコちゃんはちっとも感激していないようで。



真剣な声色で。

あたしを呼んだ。



「どうしたの?」



海から視線を外してマコちゃんを見た。


マコちゃんは懐かしむような眼差しで、暖かく海を見ていた。



「…モデルになろうと思うんだ」



「…」



モデル…?


雑誌とかテレビとかの…モデル?



「その為にここを離れた」



ここ…?

離れた…?



「それってどういう…」



「僕ね、小学生までは沖縄にいたんだ」


だから…詳しいんだ。


「でも、色々調べて決めたからって…」



そう。

沖縄旅行を提案してくれたとき、なにがあるのか調べたって言っていた。



「…本当は言いたくなかった。
沖縄出身って言うだけでみんな騒ぐから。出身地で評価されるのにはもうこりごりで…」


苦笑しながら話すマコちゃん。


いつもヘラヘラしてるマコちゃんからは想像もできないような、辛そうな顔。



「じゃあ、どうしてあたしに…?」



「あおいんは違うと思ったから。
そんないい加減な評価しない子だから」



「そ、そんなことないよ」



「ううん。今だってほら。
ちゃんと『僕』と話をしてくれてる」



「そりゃあ…」



「だからあおいんにだけ。モデルになりたいってことも。あおいんにだけ。
本物の女の子になりたい」



「…かっこいい…」



「え?ちょっと、男として見ないで」



「違うの。本気で叶えたい夢があるのって、こんなにかっこいいんだね」



「え?…ありがとう」
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