◇◇◇◇◇


「そう言えば、今日はどこに泊まるの?」



明るかった空はいつの間にかオレンジ色になっていて。


浜辺の涼しい風を体で感じながら隣のマコちゃんに聞いた。



「あー、おばあちゃん家」


「マコちゃんの?」


「うん。旅館だからさっ」


「へぇ!そうなんだ!楽しみ!」


「じゃあもう移動する?」


「行きたい!」


そっと立ち上がりゆっくりと歩き出す。




ブー…ブー…



ほんの数歩歩いてスマホが無機質な音を出した。


開くとそこには知らない番号。


出るか迷ったけど。


出てみることにした。



「マコちゃん、ちょっとごめんね」



マコちゃんに断りを入れて。



「…もしもし」



出ると。



『…元気かー』



「…あ………」



『…ごめん。いきなり消えて』



………ずっと待ってた。


光の声。



「…本当だよ…。光。どこにいるの?実家?」



『…今からなー。学校行くんよ』



「…学校?」



『………退学すんねん』



「…え……?」



『ごめんなー。なんも言わんで。色々あってな。もう会えへんし、電話もできんくなると思う。
やから、せめて、最後に、と思ってな。』



光…泣いてる…。




「待って、なんで会えないの?」



『そら言われへん。隠し事ばっかでごめんな。

葵。』




少しの間をおいて。




『俺、葵のことむっちゃ好きやで。
おかしくなるくらい好きやぁ。

ほんまは離れたないし。
また一緒に学校行きたいよ…。

けど。
葵のためにも。
もう、葵のこと忘れるわ。

それだけ言いたかってん』



どうして…?



「…やだ。
もっとたくさん一緒にいようよ…」



『…俺もそうしたいよ…。
葵に会えてよかったよ。

ほんまは直接言いたかったけど。
無理やったわぁ。
葵ぃ。
ほんっまに。

ほんっまに。好きやった。

ありがとうな。

じゃあ、元気でな』




「ちょっ…」



プツッ…………………




空虚感に包まれた。




虚ろな。




「…うっ…グズっ…あ…あぁ……。


マコちゃん………っ…………
光、光ね、もう会えないんだって……っ

なんでかな……?あたしなんかしたかな………っ…………
うぅ…っ………」



「あおいん…」



その場で泣き崩れたあたしを、優しく、抱きしめてくれた。


好きなら…もっと一緒にいてよ…。



帰ってきてよ…。
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