「んねぇ、綾美」




「ん?」




まだ動揺している綾美に。




「あたし、座っていいかな?」




自分の席を指差しながら愛想笑いを浮かべた。




「あっどうぞどうぞ!」




席が目の前にあるのに立って話すなんて、バスや電車で空いてても立ってる人みたいで理解できないから。




ちょっと強引に綾美の隣をすり抜けて席についた。




「あ、あのさぁ葵」



「ん?なに?」



まだ動揺しているのか、もぞもぞあたしの後ろをついてきた綾美が口を開く。




「…恋愛対象じゃないなら、紹介して?」




「え?光を?」





「…うん」




「いいけど…光がいいって言ったらね」




「ありがとう!」




これが言いたかったのか。



恋愛対象でもそうじゃなくても紹介くらいしてあげるのに。
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