15時35分



新学期がはじまってそうそう6時限まであるなんて。



知ってたけど。


やんなっちゃう。




「葵ー。お待たせー」



下駄箱でスマホをいじりながら突っ立っていると、後ろから聞き慣れた声が聞こえてきた。




「待ってないよ、光」



「ほんまー?よかった」



「帰ろっ」



「おう!帰ろ帰ろ」



なぜか機嫌がいい光。



なんかクラスでいいことあったのかな?



「なんかいいことでもあったの?」



ニコニコと笑う光を見ているとあたしまでニコニコしてしまう。




「んーん、なんもないよー。ただ、葵がいるー思たら嬉しくなってん」




「えぇ?」




ニコニコしたまま答える光に対して、なんだかおかしくて笑ってしまった。




「クラスの、俺を囲む奴らは好きやない…むしろ嫌いや。
あぁいう媚びるような態度。
一緒にいたないねん。
やから、嬉しいんよ。
1日のご褒美みたいに葵が下駄箱におるんが」




俯いて小石を蹴飛ばした光。



みんなに囲まれて人気者の光だけど。


誰でもいいってわけじゃないんだね。



あたしも最初は光が嫌いなタイプに分類されていたと思う。



引越しの手伝いをしている時、かっこいいから近付きたいと思ったことも少なからず事実で。


今、その気持ちがないと言えば嘘になる。


それでもなぜか、あたしの隣にいてくれる。



あたしとクラスメイト。



なにが違うんだろう?
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