メガネはずしちゃダメ!
知らずに涙が出てきた。

そんなあたしの頬に流れ落ちる涙を、

親指で脱ぐってくれる芹沢さんの表情は優しかった。

「さっき…の…電話、誰で…すか…」

不安が頭を過って聞いてみると、

「…姉貴…っ」

芹沢さんは言いたくなさそうな表情で少し目をそらした。

「お姉さん…本当…」

その仕草に不安は晴れなかった。

「……」

黙ったままの芹沢さんは、
何かを隠そうとしているように見えた。

「あ~もっ、

小暮のことで相談してた、
気になる後輩がいるってからかわれるの知ってたけど、俺初めてなんだよ!

こんなに人…

好きになんの、それもうこんなピュアそうな女。

そこら辺の女と違って接し方わからなくて姉貴に聞いてた…」
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